【遊戯王】「魔鍾洞」相手よりも多くのモンスターがフィールドにいるプレイヤーのモンスター効果の発動及び攻撃宣言を封じる効果、お互いのフィールドのモンスターが同数の場合にエンドフェイズで自壊する効果

 

 

《魔鍾洞》
フィールド魔法
(1):相手フィールドのモンスターの数が自分フィールドのモンスターより多い場合、
相手はモンスターの効果を発動できず、攻撃宣言もできない。
(2):自分フィールドのモンスターの数が相手フィールドのモンスターより多い場合、
自分はモンスターの効果を発動できず、攻撃宣言もできない。
(3):自分・相手のエンドフェイズに、お互いのフィールドのモンスターの数が同じ場合に発動する。
このカードを破壊する。
 

 DARK NEOSTORMで登場したフィールド魔法。
 相手よりも多くのモンスターがフィールドにいるプレイヤーのモンスター効果の発動及び攻撃宣言を封じる効果、お互いのフィールドのモンスターが同数の場合にエンドフェイズで自壊する効果を持つ。

 モンスターの数が多いプレイヤーの攻撃宣言とモンスター効果の発動を制限する。
 大量展開からの攻撃はしにくくなり、展開や除去なども困難になる。
 大量展開による制圧や1ターンキルに対しては強い抑止力となり、《メタバース》や《終焉の地》等で相手ターンに発動すれば意表をつく形となり、動きを阻害できる。

 しかし、お互いのモンスターの数が同数になるとどちらにもロックはかからず、更に(3)でエンドフェイズに自壊する。
 なお、お互いのフィールドのモンスターが0体の場合でも同数と見なされて破壊される事は意識しておきたい。

 自分にも制約がかかり得るので、通常のビートダウンで使用した場合はモンスターの数の管理が重要となる。
 なるべくモンスターの数が少ない状態になる様に、単体で高い制圧力を持つものや、【閃刀姫】の様に少数精鋭で戦うデッキだと相性が良い。
 ただし、相手もリンク素材にするなどの工夫を凝らしてモンスターの数を減らしてロックを解除しようと狙ってくる。
 自壊を回避したい場合は、モンスターの数を増減させるフリーチェーンのカードを併用する手もある。
 具体的には相手モンスターを増やす《おジャマトリオ》や、自分で一時的にフィールドを離れる《ゼンマイラビット》などが候補となる。

 特殊召喚を制限するカードを用いてリンク召喚などを封じれば、相手はモンスターを減らしにくくなりロックの強度は高まる。
 特殊召喚を封殺してお互いの展開力を鈍らせる【メタビート】系列は候補となるが、相手が展開する前に特殊召喚を制限するとモンスター1体ずつとなりやすく自壊しやすいのが難点。
 【スピリット】・【妖仙獣】ではフィールドにモンスターをあまり残さないため相手だけにロックを押し付けやすい。
 逆にわざと自分に制約をかけて共通バウンス効果を無効にしてフィールドに維持する事もできる。
 もっとも、その場合は次のターンの行動が不可能になるので何らかの手段でこのカードを処理する必要があるが。

 このカードが最も真価を発揮するのは、自分がモンスターをフィールドに出さない非ビートダウン系列のデッキで使う場合である。
 自分への影響は殆ど無視でき、相手に一方的な制限を与えるため極めて相性が良い。
 特に相手が先攻1ターン目にモンスターを出した場合、後攻1ターン目にこのカードを発動してしまえば永続的にロックがかかり続ける。
 こちらが先攻の場合、相手の後攻1ターン目にモンスターが出たタイミングで《メタバース》や《終焉の地》で発動してしまうのが良い。
 こうなると相手は何らかの魔法・罠カードでこのカードか自軍のモンスター全てを処理しない限り身動きがとれなくなる。
 既に適用済みの場合は相手がモンスターを出さず自壊を狙ってくる事も考えられるが、魔法カード1枚でその状況を強要できる時点で十分に役割を果たしていると言えよう。
 ただしこのカードの発動そのものを無効化、または発動にチェーンして除去できる効果を持つモンスターは苦手。

ロックはモンスターではなくプレイヤーにかかる効果なので、効果を受けない耐性を持つモンスターでも行動はできない。
「効果を無効」ではなく「効果の発動ができない」であるため、《ならず者傭兵部隊》などの自身をコストとしてフィールドから離してロックを解除する事も不可。
つまり、1度適用されてしまったこのカードにモンスターで対処する事は事実上不可能に近い。
モンスターでこのカードに対処するならば、上述した様にこのカードの発動そのものを無効、あるいは発動にチェーンして除去するのが現実的である。
一応、永続効果で対処する方法もあるが、既に適用済みの魔法カードに影響を及ぼす永続効果は殆ど存在しない。
数少ない例外としては《マジック・キャンセラー》や《サイレント・ソードマン LV7》、《ゲート・ブロッカー》等が挙げられる。
極めて珍しい例として、永続効果でカードを破壊できる《天空聖者メルティウス》なら除去できる。
(3)は破壊なので《Sin スターダスト・ドラゴン》などで破壊を防げる。
【Sin】はあまり展開力に優れたデッキではないので効果の相性も良く、投入が検討できる。
類似した大量展開への抑止となるカードには、《カイザーコロシアム》もある。
あちらは相手の展開前に先に発動して数を制限するが、こちらは相手が大量展開した後に使っても有効になる。
なお、併用は意味がなく、相手はモンスターを増やせないのでこちらの制約を発生させにくく、モンスターをリンク素材にするなどして数を減らせばどちらの制約も解除することができてしまう。
モンスターの数が少ないほどいいので、《シューティング・クェーサー・ドラゴン》や《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》のような、単体で高い制圧力を誇るモンスターとも相性はいい。
しかし、これらの効果も発動を伴うので、それら1体のみを残したとしても、相手のモンスターが0体であればその制圧力を封じてしまうため、諸刃の剣ではある。
モンスターの数が相手と同じになるように《妖仙獣 鎌弐太刀》を召喚すれば直接攻撃とロックを両立できる。
《ドリル・ウォリアー》・《因幡之白兎》・《スカイオニヒトクイエイ》でも同様の運用ができる。
一見するとロック向きのカードだが、後攻からの切り返しカードとして見てもかなり優秀な部類に入る。
相手フィールドのモンスターはもちろん手札誘発モンスターの効果も防げるので初動の動きを邪魔されにくくなる。
当然、そのままモンスターを展開し続けると今度は自分モンスターの効果が使えなくなるので、その前に自分で破壊するか、相手モンスターの数より多くしないようにする工夫は必要。
登場以降はモンスターを展開するデッキに対する強いロック効果によりこのカードを中心とした地雷デッキが構築され、環境でも一定の成果を見せている。
上述の通り非ビートダウンデッキではデメリットがほぼ無く使用でき、ロックで行動を封じている間に魔法・罠カードで効果ダメージで勝つのが主流となっている。
中でも《波動キャノン》は1枚で8000バーンが可能であるためデッキスペースを食わず、空いたスペースにこのカードのサーチカードやこのカードを除去から守るカードを採用できるため相性が良い。
確実にこのカードを1ターン目に用意できるようにするため、《メタバース》や《終焉の地》及びそれらをサーチできる《悪魔嬢リリス》や《トラップトリック》等も採用される。
このカードのロックが強く刺さる理由の1つとしては第10期現在の環境自体も後押している。
エクストラデッキから特殊召喚できるモンスターで除去がやりやすくなったため、メインデッキはエクストラデッキのモンスターの素材を展開する役割を担う様になり、魔法・罠カードも展開補助の目的の物が優先される様になった。
そのため、ドローしないと使えないメインデッキの魔法・罠カードによる魔法・罠除去は重視されなくなってきている。
つまり、1度ロックをかけられてしまうとサイドデッキも含めて抜け出す手段が用意されていないデッキも少なくないのである。
また、サイドデッキに《サイクロン》等の魔法・罠除去を何枚か用意していたとしても、2枚目以降を張られてしまうと除去が追い付かないケースもある。
逆に言えば、このカードの存在自体がモンスター重視の環境に一石を投じているという見方もできなくもない。
もう1つの理由は遊戯王OCGのトーナメントにおける時間制限、即ちエキストラターン・エキストラデュエルの存在である。
上述した通り、メインデッキにこのカードの対処手段が用意されていないデッキの場合、1戦目でロックをかけられた時点でそのデュエルの負けは決定する。
この際、このカードを使うプレイヤーがサレンダーを許可せずその1戦目のデュエルを限界まで長引かせた場合、相手は唯々時間が過ぎるのを待つ以外なくなる。
そして1戦目を勝利すれば2戦目は短期決戦のエキストラデュエルとなり、早々にバーンカードを発動してライフ差を付ける事で逃げ勝ちできてしまうのである。
この戦法は、サイドデッキでこのカードに対処されるという弱点も補えることができる点でも相性が良い。
もっとも、ルール違反ではないにせよ勝負が決まったデュエルを限界まで伸ばす事はマナーの面では賛否両論である事は否定できないのだが。